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スーパー編集長のシステム小説術―才能なんていらない!


ミニレビュー

引用:

 世に小説家の「小説の書き方」本は多いのですが、小説家を目差して必死な思いでいる人たちは、むしろ編集者のサジェスチョンを求めているのでないかと、そういった経験のなかで確信しました。それが、この本を書こうという根本動機であったとして間違いないでしょう。

「そういった経験」とは、カルチャーセンターでの創作講座の講師経験。著者は、30年近いキャリアを持つ編集者です。その著者がウェブサイトに連載していた小説作法をまとめたのが本書。文学でなく、エンターテインメント性の高い小説を書きたい素人の方々に向けて書いたとのこと。

やはり編集者らしい視点で書かれた部分が面白いですね。例えば『小説教室や新人賞の応募作品などに多く見かけるのですが、プロ作家を目差すのなら「おやめなさい」と申しあげたい傾向の作品群があります』として、自伝的な、かつ独白調の文章をいくつか例に挙げます。そしてこのような文章を「読者をおいてきぼりにして、作者ひとりで酔っています」と斬り捨てています。

講演やセミナー、ひいては提案書などにどうやってストーリー性を持たせるかを勉強していて、たまたま出合って手に取りました。「システム小説術」というタイトルから想像していたほどシステマティックな方法論は無かったように思いますが、実践的なコツはいろいろと書いてあって、エンタメ小説を量産するぞ!という方には参考になると思います。