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公務員、辞めたらどうする?


ミニレビュー

社会福祉、教育、自然環境など、社会的な課題に注目が集まっています。その一方で「官から民へ」の流れに沿って公共部門は縮小傾向にあり、公務員も自らのキャリアを幅広い視点で考えなければならなくなってきたようです。

この本では、公務員の置かれた現状を俯瞰しつつ、公務員を辞めるという選択が個人にとってどういう意味をもつか、辞めた先にはどんな道があるのかを、事例を交えて解説しています。そのベースになっているのは、著者自身を含め「役人廃業」の道を選んだ50人以上への取材。

著者の山本さんは文部省出身。現在は人材紹介会社に勤めるかたわら、「公務員からの転職支援 役人廃業.com」を主宰しています。

「役人廃業」という言葉を見たとき、山本さん(そしておそらくは多くの公務員の方)が、公務員の仕事を『業』と表現されていることに、ちょっと驚きました。「廃業」というのは事業を畳む・看板を下ろすということ。公務員という仕事に対するプロ意識と、辞める以上戻れない・後には引けない、という思いが感じられる言葉です。

転職も起業も、何回でもチャレンジできます(現実には「何回でも」とはいえませんが)。しかし公務員を辞するのは、一生に一度の選択。道がないわけではないと思いますが、多くの公務員はその覚悟で決断するでしょう。

そのような大きなチャレンジを、著者はどのように乗り越えたか。転職に至る決断の参考書として読めば、公務員でなくても得るものは多いと思います。参考までに、著者がまとめた、公務員からの転職・起業成功者に共通してみられる傾向を引用しておきます。

引用:

 

公務員退職理由とその後のキャリアプランが明確であり、徹底的に検証もした
公務員としてもそれなりの仕事をし、それなりのものを達成した自負がある
公務員であった過去を否定しない
「損して得とれ」の意識を持っている
周囲の理解がある
公務員時代から、公務員を辞めた後のキャリアを意識した行動をしてきた
(p216より)

タイトルや見出し(これは多くの場合出版社が担当します)を眺めると、どことなく公務員に対する転職のススメに思えるかもしれません。しかし、著者のスタンスは基本的には中立。現職の公務員にエールを送りつつ、望むなら背中を押しますよ、という感じかな。

※著者の山本さんとは以前から面識があり、ココロミにも投稿してくださっています。この度出版を記念して、起-動線ユーザーにこの本をプレゼントしてくださいました!詳しくはニュースをどうぞ。

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