ミニレビュー
タイトルといい表紙といい、かねてから気になっていた一冊。
「はじめに」の冒頭には、こう書かれています。
引用:
本書は、「『論理的』の意味を完全に理解しよう」という目的の本です。
「完全に」という言葉に惹かれますね。論理についての本ですから、言葉もいいかげんには選ばれていないでしょう。「13歳からの読者に」「『論理的』の意味を」「完全に」理解させるとぶち上げるこの本には、いったい何が書いてあるのか。わくわくしながらページをめくりました。
結論からいえば、わずか120ページの中に、必要十二分な情報が盛り込まれていました。大人でもこれだけしっかり『論理的』の意味を語れる人は少ないのではないか、と思います。
おそらくは意図的になのでしょうが、やさしい言葉に置き換えるようなことをしていません。たとえば、もっともらしい(説得力のある)推論の方法を紹介している箇所から、「一般化のもっともらしさ」という項の冒頭の文書を引用します。
引用:
一般化(generalization)は、限られた例で「ある属性・傾向」が見られることを根拠に、その属性・傾向はすべてで見られるだろう、と結論するものです。
このあとに具体的な例などを添え、意味を解説してくれているものの、抽象度の高い文章であることには違いありません。
しかし、それゆえに知的好奇心を刺激される13歳もいることでしょう。「13歳の」ではなく、「13歳からの」論理ノートですからね。