ミニレビュー
イギリスの女性コラムニストが、最低賃金レベルの仕事を体験したルポルタージュ。身元を隠し、病院での運搬係、給食のおばさん、老人ホームの介護助手など、1ヶ月強のあいだに6つほどの低賃金労働を経験しました。
引用:
ある種の肉体労働が「単純作業」でも、はしごの一段目にすぎないと思えば、低賃金でも当然と納得する気にもなる。しかし、低賃金労働者がはしごを何段も上る例など、いまやほとんどないことが明らかになった。たまに一段上ることがあっても、すぐに滑り落ちてしまう。失業状態と低賃金のあいだを、不安定に往復するだけだ。まさに、社会的進歩が停止したといわざるをえない。(p15)
賃金が低すぎると、どうなるか。
一つの仕事だけでは生活できないので、掛け持ちをする。
あるいは、時間給が低くても労働時間が多い仕事を選ぶ。
結局肉体労働を長時間せざるを得ません。しかも元々資金繰りが苦しいので、貯金もままならず、仕事に穴が空くとすぐに困窮してしまう。
そんな構図が見てとれました。
しかもイギリスでは、そのような低賃金層が30%にのぼるとあります。
日本ではどうなのか、訳者があとがきで挙げていた下記の書籍も読んでみようと思います。
斎藤貴男著『機会不平等』
橘木俊詔著『封印される不平等』