ミニレビュー
『ザ・ゴール』、『ザ・ゴール 2』、『チェンジ・ザ・ルール!』と来て、4作目ではTOC理論をプロジェクト管理に応用します。
進捗の遅れを最小限にしようと思うと、作業を細分化して期限をキチキチと切ってやっていきたくなりますが、うまくいかない。そこには、時間が浮いても次の作業を前倒しで始めないとか、学生症候群(ぎりぎりになるまで作業を始めない)とか、身につまされる ;-) 人間的な要素が潜んでいます。
またいくら正確に見積もっても、実際の作業時間は統計的なばらつき(早く終わる仕事もあれば、ハマってしまう仕事もあるということ)を持ちます。キチキチ管理だと、そういった例外的に遅れた作業が他の作業の着手遅れを呼んでしまいます。
そこで、各作業ごとの期限管理をせずに、クリティカルパス(最も時間のかかる作業パス。この作業パスの遅れはプロジェクト全体の遅れに直結する)の前にどかんと余裕を置く。キモだけ言えばこんな感じでしょうか。
あと、特定の人に作業が偏ってしまうために遅れが遅れを呼ぶということがありますね。よくデキる人に仕事が集中するケースと、作業に必要なスキルの持ち主が不足しているケースとありますが、なんにせよ、全体の作業量には余裕があっても特定の人がボトルネックになることはよくあることです。
この問題への処方箋は明確でないような気がしますが、とにかく「スループット重視」のアプローチはプロジェクト管理にも使えます。
『ザ・ゴール 2』で出てきた対立解消図も出てきて、これまでの作品の復習編という感じもします。ストーリーの盛り上がり具合は『ザ・ゴール』の2作に及びませんが、プロジェクトベースで仕事をしている人ならばプロジェクト管理の専門職でなくても楽しく読めると思います。