ミニレビュー
社会人の教科書と呼ぶにふさわしい
仕事術の本でブレイクした勝間和代さん、肩書きの先頭には「経済評論家」とあります。仕事術の本よりもこの本のほうが本業に近いテーマなわけですね。
わたし自身、資産形成の勉強をしたのは2000年から2001年あたりに出た木村剛さんの『投資戦略の発想法』や『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだことがきっかけだったと思います。特に前者の本には推薦図書のリストがあって、それに頼って読み進めました。
「金融リテラシーの基本と実践」という副題のこの本を読んで、そのようにして何冊もの本で学んできたことがここによくまとまっていると感じました。言ってみれば、社会人の教科書です。新書の少ない紙数で、金融リテラシーの必要性から主な金融商品の紹介から「金融リテラシーを身につけるための10のステップ」(以下)、さらには社会責任投資の紹介までが、薄く広く網羅されています。
ステップ1 リスク資産への投資の意思を固める
ステップ2 リスク資産に投資をする予算とゴールを決める
ステップ3 証券会社に口座を開く
ステップ4 インデックス型の投資信託の積み立て投資を始める
ステップ5 数カ月から半年、「ながら勉強」で基礎を固める
ステップ6 ボーナスが入ったら、アクティブ型の投資信託にチャレンジ
ステップ7 リスクマネジメントを学ぶ
ステップ8 リターンが安定したら、投資信託以外の商品にチャレンジ
ステップ9 応用的な勉強に少しずつチャレンジ
ステップ10 金融資産構成のリバランスの習慣をつける
Amazonでの紹介ビデオによれば、この本は著者が金融リテラシーの啓蒙書を書こうと企図して、読んでもらいやすい「新書」を出してくれる出版社に話を持ちかけたとのこと。700円+税という投資は、十分に報われると思います。最後に、本書をつらぬく「原則」を引用します。
- 第1原則 分散投資、分散投資、分散投資
- 第2原則 年間リターンの目安として、10%はものすごく高い、5%で上出来
- 第3原則 タダ飯はない
- 第4原則 投資にはコストと時間が必要
- 第5原則 管理できるのはリスクのみ、リターンは管理できない
金融でしっかり儲ける方法の基本5原則 – *ListFreak