- タイトル:脳神経科学リテラシー
- 著者:中澤 栄輔(著)、鈴木 貴之(著)、立花 幸司(著)、植原 亮(著)、永岑 光恵(著)、信原 幸弘(編さん)、原 塑(編さん)、山本 愛実(編さん)
- 出版社:勁草書房
- 出版日:2010-10-08
ミニレビュー
脳神経科学リテラシーとは何か。
引用:
脳神経科学の成果からできるだけ多くの恩恵を引き出し、またできるだけ害を減らすためには、脳神経科学の成果をうまく活用する能力と、脳神経科学をわたしたちの生活や社会にとって役立つ方向に発展させる能力が必要である。こうした能力が脳神経科学リテラシーである。(「はしがき」より)
はしがきによれば、大学の教科書として企図された本とのこと。いわゆる「脳科学」でくくられるトピックを広く網羅しています。目次はこんな感じ。
引用:
第1章 脳神経科学リテラシーに向けて
第2章 知覚:環境変化の見落としについて
第3章 記憶:偽記憶研究の現在と未来
第4章 自由意志:常識的な見方を問い直す
第5章 意思決定:薬物依存と意思決定の歪み
第6章 道徳:理性主義と感情主義
第7章 信頼:社会性の神経経済学
第8章 マインド・リーディング:脳から人の心を読む
第9章 ブレイン・マシン・インターフェイス:脳と機械を結びつける
第10章 精神疾患:心の病から脳の病へ
第11章 スマートドラッグ:薬物によるエンハンスメント
第12章 教育:神経神話を問い直す
第13章 加齢:認知機能の変容
第14章 広告利用:脳トレ広告にみる脳神経科学言説の信頼性
第15章 脳神経科学によるイノベーションの創出
興味があったのは前半ですが、後半も意外に面白かった。たとえば「加齢:認知機能の変容」では、なぜ高齢者は振り込め詐欺や虚偽広告に騙されやすいのか?というテーマの研究や、そこからの考察が紹介されています。そんな周辺分野(←わたしの立ち位置からは、という意味)の知見に触れられるのも、また教科書っぽくていいですね。