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実行力不全 なぜ知識を行動に活かせないのか


ミニレビュー

よい本はよい問いから始まります。この本の根本的な問いは下記の通り。

引用:

 「するべきこと」はわかっているのに、なぜ実行できないのか?(p20)

この問いに答えるために4年を掛けて研究を行った結果がこの本。

引用:

本書はまず、知識と行動のギャップを生む原因を探り、次に知識を実行に移して成功している企業の実態を紹介していく。(p20)

知識と行動のギャップを生む原因

著者たちが見出した、知識と行動のギャップを生む原因とは何か。それは目次を眺めるとだいたい掴めますので、下記に太字で示してみます:

1 知識は実行してこそ価値がある
2 言葉を行動と錯覚してはいないか?
3 前例が思考を妨げる
4 恐怖心が行動をはばむ
5 評価方法が判断力を狂わせる
6 内部競争が敵をつくる
7 知識と行動のギャップを乗り越えた企業
8 知識を行動に変えよう

たとえば、「前例が思考を妨げる」という章では、過去のやり方を変えられずに失敗した企業の事例を、社会心理学者ロバート・チャルディーニ(『影響力の武器』)の知見と組み合わせて下記のように分析します。

引用:

役員たちが「このやり方は変えなければならない」と感じたのに、社会的証明(ライバルもこうやっている)と、一貫性(これまでずっとこうやってきた)の力が崩してしまったのだ。(p86)

ギャップを乗り越えた企業と行動のためのガイドライン

その後3社の事例があり、最終章では「行動のための八つのガイドライン」としてまとめられています。敢えて和訳の引用ではなく、私の理解も入れて英語(ネットで探してきました)を短く訳し直してみました。

1. 「どうやって」よりも「なぜ」行動するのかが重要。
(Why before how: philoasophy is important.)

2. 行動から知識を得よ。
(Knowing comes from doing and teaching others how.)

3. 行動は美しい計画やコンセプトに勝る。
(Action counts more than elegant plans and concepts.)

4. 間違いのない行動はない。
(There is no doing without mistakes.)

5. 恐れは行動の敵。恐れをぶっとばせ。
(Fear fosters knowing-doing gaps. So drive out fear.)

6. 競争は行動を促す。ただし、競争相手は社内でなく社外に求めよ。
(Beware of false analogies: fight the competition, not each other.)

7. 行動を促す、シンプルな評価システムを作れ。
(Measure what matters and what can help turn knowledge into action.)

8. リーダーは行動で示せ。
(What leaders do, how they spend their time, and how they allocate resources matters.)

「間違いのない行動はない。」のところから、印象的なエピソードを紹介します。『IBMの設立者で長いあいだCEOだったトーマス・ワトソン・シニアの逸話』とのこと。

引用:

 前途有望な若い役員が、リスクの大きなベンチャーにかかわって一〇〇〇万ドルの損失を出した。これは大事件だ。ワトソンから電話がかかった。不安におびえるこの役員はいった。「辞職は覚悟しています」。ワトソンは言った。「冗談いっちゃいけない。一〇〇〇万ドルかけて、君を教育したんだぞ!」

(参考)
知識を行動に移すための、8つのガイドライン – *ListFreak

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