カテゴリー
資料

ジンメル・つながりの哲学


ミニレビュー

「つながりの哲学」というタイトルがいいなあ、と思って読んでみました。この本は基本的にゲオルグ・ジンメルという『哲学者にして社会学者』の考えを紹介しています。

何と何とのつながりかといえば、「自分」と「社会」のつながり。

引用:

 これまでにも見てきたように、ジンメルの<相互作用論的社会観>に立てば、「ほんとうの私」というものが、社会的関係とは全く別のどこかに実体的に存在するという考え方は成立しない。とはいえ「ほんとうの私」という感覚自体を丸ごと否定して、「すべては社会的役割上の演技にすぎない」とする考え方も納得のいくものではないことは前に指摘したとおりである。
(略)
 しかし、私たちは「ほんとうの私」という感覚を捨てさる必要はない。<いま・ここ>で自分が背負っている役割的側面とそれ以外の「社会外的側面」のバランスがとれ、そのようなあり方に関して他者からの承認が得られる場合、「ほんとうの私」というものに手が届くという可能性が開かれる。つまり、社会的要請と自分の「生」の意識とのズレが最小となるようなそういう社会関係の形成を自分自身が模索する中で、「ほんとうの私」が活かされる可能性が開かれるのだ、(略)

…なにやら難しい表現ですが、社会的要請(役割的側面)=「活かすありたい自分」、自分の「生」の意識(社会外的側面)=「内なるありたい自分」と読み替えれば、起-動線の「意志決定のフレームワーク」に近いですね。

社会学という普段は読まないジャンルの本でもあり、すべて消化できたとは思えませんが、挑戦した甲斐はありました。「自分ナビ」作成プログラムのテキストを豊かにする上でも役に立ちそうです。