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奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち


ミニレビュー

引用:

橋本武は、戦後、公立のすべり止めだった灘校で、文庫本『銀の匙』だけを3年間かけて読むという空前絶後の授業を始める。明治の虚弱な少年の成長物語を、横道にそれながら丁寧に追体験していく。五感や季節感を大切にしながら進められる橋本の授業は、生徒の興味で脱線し、テーマを見つけた生徒はどこまでも調べていき、“個性”と出会っていく。
Amazon.co.jp「内容説明」より(一部編集)

中学校3年間の国語の教材が『銀の匙』だけ。びっくりしましたが、重箱の隅をつつくような話では、まるでありませんでした。具体的に挙げられていた例は少なかったのですが、たとえばこの作品には「丑紅」という言葉が出てくるそうです。すると、これは何のことか(寒の丑の日に売る紅)、「丑の日」とは何か……といった具合に、先生と生徒の興味に応じて、話題をどんどん掘り下げながら、横道にそれていく。なので教材こそ文庫本一冊ですが、授業では毎回大量のプリントが用意されていたとのこと。

短い言葉を掘り下げて考えるというあたり、『九マイルは遠すぎる』とかアランの『定義集』が好きな人は、きっと「こんな授業を受けたい!」と感じると思います。