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直感で生きる 「直感日記」で、これからの毎日が変わる


ミニレビュー

“直感”で手に取りました(笑)。しかし「はじめに」で『宇宙のなかには、奇跡のような出来事を創り出してくれる偉大な叡智が間違いなく存在しています。』という文に出合い、早くも自分の直感を疑いはじめました。だいたい「宇宙」が出てくる本を納得して読み終えられたことがありません(天文学の本を除きます)。

とはいえ、何かいいことが書いてあるような“直感”もあったので、読み通してみました。結論としては、直感の源が何かという話を除けば、直感の感度を高める有用なエクササイズが多く、勉強になりました。

(以下、直感を微かな情動と考えて書いています)情動が発生し感情として我々の意識に認知されるメカニズムは神経科学者の説、たとえば『デカルトの誤り』で学ぶことができます。しかし、情動のメカニズムが分かることと、それを実際に捉えることは別の話です。EI理論では情動知能を4つの能力に分けて定義しており、その第一は「情動の識別」です。自他の情動を感じ取る力は我々の知能の一部ですが、直感のような微かな情動を捉えるトレーニングの方法が確立されているとはいえません。

著者は、直感コンサルタント(!)として自他の直感に耳を傾け続けてきました。その経験から、自分の直感に耳をすませ、捉え、解釈する多くの方法を持っています。27もの章からなる本書のすべての章末には、まとめに代えて「直感日記」というコーナーがあり、直感を書き出すさまざまなやり方が紹介されています。ただ終盤になって、家を増築したくなったら宝くじの番号が夢に出てきた(けど買いそびれた)といった事例が出てきました。これは直感=情動という理解ではあり得ない話なので、何をどのように採り入れるかは注意しなければ、と思った次第。

個人的に特に印象に残ったのは『祈りとは神に語りかけること。瞑想は神に耳を傾けること。そして直感は、神からの答えです。』という箇所です。ここでも「神」という言葉が理解を妨げてしまうように思えますので、「お天道様」でも「非意識的自己」でも、読み手にとって納得できる何かに置き換えることが必要でしょう。それが何であれ、自分の意識の外(あるいは下)にある何かに「語りかけ、耳を傾け、答えを得る」ことは、直感を働かせるために欠かせないプロセスであるように思えます。とりわけ、ただ待つのではなく積極的に語りかける、つまり問いを立てるというステップが重要なのではないでしょうか。

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