以前から題名は知っていたのですが、図書館で見かけたので、借りて読んでみました。
1980年代前半に、スカンジナビア航空の改革をなしとげた、当時の社長ヤン・カールソン自身による改革のドキュメンタリーです。
タイトルの「真実の瞬間」とは、「最前線の従業員の15秒間の接客態度が、企業の成功を左右する。その15秒を「真実の瞬間」という」と説明されています。すなわち、「顧客指向のサービス」というものを、シンボリックに表現したもので、これが改革のキーワードになっています。
改革のプロセスは、戦略策定、組織のフラット化、コミュニケーションの徹底、業績評価、報奨、と現在では比較的おなじみのもので成り立っていますが、これの書かれたのが1985年であることを考えると、大きな先見の明だと思いました。
翻訳者は西武の堤一族の人で、出版は1990年。その時代にすでにこれだけの知見に触れていながら、なぜ日本企業がバブル崩壊後10年以上これを実行できずに苦しんできたのか、ちょっと不思議な気持ちがしました。
ともあれ、やや古さを感じさせるところはありますが、書かれている内容のエッセンスは普遍の真理だと思いますので、読んで損はないと思います。
特に、人を雇って使っている経営者の方には、勉強になるでしょう。