藤原氏と天野氏との共著となっていますが、本書のメインの著者は天野氏で、藤原氏の活動や著作を豊富に引用し、天野氏自身のコメントを交えて、藤原氏の教育哲学や改革への方法論が具体的にわかるように構成されています。
[よのなか]科創設の目的や、現時点での全体構想を概観することができ、重宝でした。
藤原氏の証言で特に印象に残ったフレーズは
引用:
みんなが中流になってしまったので豊かさが感じられない。成熟というなの退屈もある。(中略)政治家も中流、経済も中流、どうしてみんなこんなに中流なのかと、中流であることに復讐された日本には、閉塞感がまん延する。
というものです。
教育問題に限らず、現在の社会状況の問題点の根本原因を実に的確に言い表しているように思いました。
だからこそ、今なすべきことは「中流」ではなく「一流」を目指すべきことであり、「規格品」ではなく「個性的な本物」を求めることなのでしょう。
また、本題に即したところでは、教育の目的は「自立」と「貢献」のできる人を育てることにあるという考え方にも深く共感しました。
個人の人生論としても役立つテーマや気づき満載の本でしたが、一応メインテーマである「公立学校改革には地域の社会人のコミットが不可欠」というメッセージに鑑み、このカテゴリにしました。