楽天広場で日記を公開されているインスパイアsioさんという方の書かれた本です。
単なる専業農家ではなく、農業を営むことで自分と家族の食を確保するとともに、残りの時間で自分の生きがいを追求する、そして双方が相まってバランスよい暮らしを確立するという生き方を、「半農半X」という言葉で定義されておられます。
まず、政策的見地から見ると、今、農業後継者問題が本当に深刻になっているのですが、一方で「産業としての農業」が日本でどこまで成立しうるのかも問題です。仮にグローバル経済の見地から見て「産業としての農業」が日本では成り立たないとしたときに、農地や里山をどのようにして保全していくことが可能なのか、どこまで税金をつぎ込むことが大きな課題でした。
このライフスタイルが、広く認知され、支持されるようになると、課題解決への大きな福音になると思いました。
また、個人としてみたときに、食・環境には非常に高い関心を持ちつつも、「それで本当に生活していけるのだろうか」という不安に対して、作者は具体的な田舎暮らしの方法や、これを実践している人々についての様々な例を挙げて、そのような不安は十分に克服可能なものであるだけでなく、むしろこれこそが、真に人間性を取り戻す生き方であることを説かれています。
決して原理主義的な自然回帰の方法論を説いたものではなく、インターネットを使いこなし、行政やビジネスとのコラボレーションも柔軟に駆使した「かっこいい」生き方であり、これからの世代に十分に受け入れ可能な考え方だと思いました。
僕自身の進む方向性とは違うのですが、起-動線で「チャレンジ」を何にするか決めかねておられる方がいらっしゃれば、ぜひこういう生き方があることにも触れておいていただきたいと思い、ここに取り上げました。