起業のノウハウについて書かれた本もいろいろ出てきましたが、この本もその一つです。
ただ、この本のユニークなところは、作者はアメリカに渡り、そこで起業して成功をおさめた日本人だということ。つまり、この本は、今の日本にだけあてはまるような限定されたテクニックではなく、およそ「起業」を行うときの本質的な方法論や留意事項について書かれたものといえます。
読んでみるとよくわかるのですが、作者は決してスムーズに成功を収めたのではなく、持ち前のバイタリティと不屈の精神で、何回もの失敗を経験しながらも、その都度これを克服されています。そしてその体験が率直に語られていますので、書かれている内容には非常に説得力が感じられました。
もちろん、アメリカで起業するときだけでなく、日本で起業するときにも、そのまま使えるノウハウです。
全部で90のトピックにまとめられているのですが、印象に残ったものを少し紹介すると
4 図書館は宝の山。まず自分がやりたい業界の専門誌を探して、業界の現状を調べよう。
9 ビジネスの立ち上げに3年かかるというのはウソ。全力投球の3日で反応が出て、3週間で結果が出て、3ヶ月でビジネスの基盤ができる。
29 スモールビジネスは、利益率より回転率を重視したほうが基盤を確立しやすい。
56 お金は稼ぐためではなく、使うためにある。お金は使わなければ増えない。相手に喜ばれる使い方をしよう。
など。それぞれが節の小見出しになっていて、作者の体験を中心とする具体例で説明されています。
「スモールビジネス」と銘打たれていますが、大きなビジネスに育てる過程にも触れられていますので、ビジネスを志す幅広い方々に役立つ本だと思います。