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コンセプトノート

482. 邪悪な3性格(Dark triad)

暗黒の3つ組

「夜型人間」と「性格が悪い人」に相関関係:研究結果(ハフィントンポスト、原文へのリンク)』という記事の中に「邪悪な3つ組」(dark triad) という言葉を見かけました。

“Dark triad”を直訳すると「暗黒の3つ組」。人間関係において嫌悪される3つの代表的な性格が定義されているというのです。手頃な解説つきの日本語ページがなかったので、”Dark triad” (Wikipedia) から編集・翻訳してみました:

  • ナルシシズム(自己陶酔的な性格) ― 誇大的な自己認識、権利意識、共感の欠如、エゴイズムによって特徴づけられる
  • マキャヴェリズム(権謀術数主義的な性格) ― 道徳を軽んじ、利己主義や欺瞞を伴う他人の操作や他人からの搾取によって特徴づけられる
  • サイコパシー(精神病質的な性格) ― スリルを求める衝動によって特徴づけられる。初期段階においては、わがまま、冷淡、感情の欠如、表面的な魅力、残忍さとして現れる

邪悪な3性格(Dark triad)*ListFreak

さまざまな研究により、これらの性格の独立性(たとえば、2つの性格が実は同じものを測っているという状態でないこと)は認められているようです。ただし、第4の因子を付け加えようという記事も見かけました。

善の3つ組

暗黒面の研究は別の機会にゆずり、今回は内なる「邪悪な3性格」を抑えるために発揮すべき能力のリストを考えてみたいと思います。

1.共感性 ― 相手の立場から考える
ナルシシズムの説明文の中にずばり「共感の欠如」とあります。相手の感情や思考をなぞる力は、人間関係を構築する上での基本的な能力でしょう。共感性を発揮する対象は、目の前の個人(あなた)から社会(みんな)までを含みます。

2.道徳性 ― 共通善(社会のあるべき姿)から考える
マキャベリズム(権謀術数主義)は「他人の操作や搾取」によって特徴づけられるとあります。権謀術数主義者は共感性も低いと思われがちですが、すぐれた(?)権謀術数主義者は、おそらく共感性が高いでしょう。相手の心の痛みや弱みが理解できるからこそ、相手の心を操作できるのです。
権謀術数主義者にならないために必要なのは、目的意識です。「自分(だけ)にとってよいこと」から「みんなにとってよいこと」へと目的を拡大する能力が必要です。

3.思慮深さ ― 結果から考える
サイコパシーの説明には「スリルを求める衝動」によって特徴づけられるとあります。ということは、衝動に耐える力が第三の力です。衝動に流されたらどうなるかを予測し、注意深く行動を選択する能力が必要です。