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コンセプトノート

161. 自分を謙虚にさせてくれる仕組み

先日ある会社で、研修講師を務めました。
受講生の方も事務局の方も、「先生」と呼んでくださいます。
しかし「先生」の方は、くすぐったい思いでした。
なぜなら、その前年、まさに同じ会社に営業しにいって、
肘鉄を食らっていたからです。
自社の名刺でははじき返されましたが、
他社の名刺では「先生」です。面白いものです。

仕事をするということは、
社会の中で与えられた役割を演じることであり、
それ以上でも以下でもありません。

ただ、同じ役を演じ続けていると、
それが身に付き過ぎてしまうことがある。
滑稽なほど傲慢になったり、
不必要なまでに卑屈になったりしてしまいます。

買い手の方が、売り手よりも偉い。
貸し手の方が、借り手よりも偉い。
経験者の方が、未経験者よりも偉い。
年長者の方が、年少者よりも偉い。
教育者の方が、学ぶ人よりも偉い。
評価者の方が、被評価者よりも偉い。
大企業の方が、小企業よりも偉い。

そんな錯覚を起こしてしまいます。

偉ぶったり卑屈になったり、虚勢を張ったり卑下したり、しない。
ありのままを保てる人をここでは「謙虚」な人と呼びますが、
謙虚でいるというのは難しいことです。

我が身を振り返っても、先輩として、あるいは買い手として、
傲慢に振る舞ってしまった記憶は数知れません。
今現在も、あとから振り返ればそう感じるようなことを、
しているような気がしてなりません。

では、自分を謙虚にさせてくれる仕組みを
生活に埋め込むことはできないか。
演じる「役」が固定していることが原因だとすれば、
意識的に役を変えてみることでしょうね。

ちなみに、わたしなりに重きを置いているのは、下の2つです。

・以前の部下から仕事をもらう

以前に上下関係のあった人と立場を変えて仕事をするのは、
「役」を意識する分かりやすい方法です。
特に、以前に部下だった方から仕事のお誘いを受けるというのは光栄なことで、
自分の中では優先順位を上げています。

・売る

価値があると信じているものが認められなかったり、
逆に自分では気がつかなかった強みを認めてくださったり、
良くも悪くも自分の思い込みを打破してくれるのがセールス。