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コンセプトノート

235. 続けるという冒険

「冒険の価値はそのひとつの冒険の成功か失敗で判断するものではない、評価されるべきは冒険を続けているかいないかだ」と登山家の竹内洋岳さんは僕に語った。(p69)
― 三浦豪太 「冒険者の資質」、The Last Frontier Vol.10

「冒険の評価」をどう行うのか、わたしは分かりません。冒険の難度とリスクが何らかの基準で測れるならば、冒険度÷リスクの高い冒険(リスクを抑えて難しい冒険をしたということ)には高い評価がくだされてしかるべきだと思います。

登山家は「冒険者の評価」について語っていたのではないでしょうか。過去に1度冒険を成功させた(だけの)人よりも、冒険を続けている人のほうが冒険者である。これはよく分かります。

何にせよ、「続ける」という行為自体が大きな冒険です。
続けるためには、人生の大事な時間をある程度そこに注ぐという決意が必要です。
続けるためには、資金や協力が必要です。登山家は冒険のために資金を集めます。事業家も、事業を維持するためのコストを顧客に先払いしてもらっています(利益と呼ばれます)。
そして続けるためには、意味(の探究)が必要です。なぜ山に登るのか。なぜ事業を興すのか。失敗したらその意味は失われるのか。長く、ときどき辛い道のりの途中で、自分で自分に問わずにはいられません。そうして再確認できた意味が、継続への決意を支えるのだと思います。

そういう目で見れば、尊敬に値する冒険者は我々の周りにたくさんいます。