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コンセプトノート

064. 直感の構造

□ 「習慣化」は判断のスピードを上げる最強の武器
『なぜか、「仕事がうまくいく人」』の中に「機械的に行う作業を決める」という章があります。「機械的に」仕事をしようだなんて、どうもワクワクしない章題ですが、ひとつ非常に印象的な文章を発見しました。
「機械的にやっている」とは、
  『意識的に判断をくだすという手順を、習慣の力を借りて省いている』
ことだと書いてあります。習慣というものの効用の、端的でいい表現だと思います。

□ 習慣が人格を作る
習慣といえば『7つの習慣』を引かないわけには行きません(笑)。他でもない「習慣」という言葉をタイトルに選んでいるのには、それなりの理由があるはずですからね。たとえばこんなメッセージがありました。
  『私たちの人格は、繰り返される習慣の結果として育成されるものである』
ちょっと逆説的にも思えますが、「人格が行動に現れたものが習慣だ」ではなく、「習慣が人格を作る」と言っています。

スポーツは「体に覚えさせる」ことができることを、わたし達は経験的に知っています。こういう本が言っているのは「自分なりの判断」というような思考プロセスも習慣化できるということです。

そもそも習慣とは何でしょう。習慣とは、繰り返しているうちに身についた行動あるいは思考のパターンであって、それ自体は無色透明、良いも悪いもありません。ところがいったん習慣と化してしまった行動あるいは思考パターンは、その人の人格をそちらの方向に、良くも悪くも、強化してしまう。

□ 「自分ナビ」作成プログラムでは
では習慣の力を活かして「自分なりに最善」な考え方を一度じっくり考えてから、習慣にすればいいわけですね。この辺りまでは起-動線のスタート時点で考えていました。
「自分なりに最善」と書くのは簡単ですが、何が自分にとって最善かも分からないし、それは時間と共に変わり得る。ですから「自分ナビ」作成プログラムは作ってみて、行動してみて、また作り直すという短い期間でフィードバックを積み重ねることを前提にしています。

□ 直感の構造
起-動線をスタートさせて、たくさんの人と話をするにつれて、「考える」と「動く」の間にあるものについて考えるようになりました。
考えたからといって動き出せるとは限らない。では人が「エイヤッ」と言いながら動いてしまえるのはどうしてなんでしょう。

「無意識に委ねれば間違いない」と言ってくださる方もいて、まったく「???」だったんですが、実は企業経営の本などでも「経営者の直感」が意志決定をする上での重要な要素だと説く本(あるいはそうおっしゃる経営者)は少なくありません。

では「徹底的に考え抜くこと」は必要ないか。そんなはずはありません。この「アタマで考える」ことと「直感で感じ取る」ことのつながりを考えた挙句、直感というものを「習慣がくだす判断」と言い換えればつじつまが合うような気がしました。

大事な決断に臨んでは、昔から自分が選び取ってきた思考のパターンすなわち「習慣」に聞く。これが「無意識に聞け」とか「直感に頼れ」ということなのでしょう。その場でアタマで考えることは、自分の中で時の試練に耐えて残った思考ではない。だから後から後悔を招きやすい。

後悔をしない決断を素早くくだすための習慣はどのように身に付けられるのか?ここで「徹底的に考え抜くこと」が必要になるのです。

考えて、習慣化し、やがて直感と言えるまでに自分に馴染んだ自分なりの判断基準。「ありたい自分」を意識して、それを追っかけ続けることで、仕事のパフォーマンスも上がれば経営判断にも一貫性が出てくるということです。

さて、仮説が作れたところで、これを携えてまた人に会いに行ってきます。