改善は編集である
グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』という本に目を通しました。本書を象徴するリストの一つと思われたのが「人生を編集する4つの原則」。
- 【削除する (Cut cut options)】 あいまいでわかりにくい要素を排除する。決断の本質は、選択肢を減らすことにある。
- 【凝縮する (Condense)】 言いたいことを最大限明確かつ簡潔に言う。結果に対する行動の比率を減らす。
- 【修正する (Correct)】 本質的なねらいを把握したうえで、修正する。
- 【抑制する (Edit less)】 すぐれた編集者は、作品に手を入れすぎない。
人生を編集する4つの原則 – *ListFreak
一読して、改善の原則ECRSを連想しました。
- Eliminate(やめる、捨てる、除く)
- Combine(統合する、結合する)
- Rearrange(並べ直す)―あるいはReplace(置き換える)
- Simplify(簡単にする、単純にする)
改善の原則「ECRS」 – *ListFreak
まずは不要なものを取り去る。そのうえで冗長なものをまとめる。その後で、細かいところに手を入れる。この流れは共通しています。ここでは引用しませんが職場環境改善の5Sも、不要なものを捨てる「整理」から始まります。手順の合理性は経験的に確かめられているといっていいでしょう。
削る・まとめる・正す
改善・編集はある種の問題解決なので、まず目的を見極め、本質的な課題を突き止め、それから実作業に入るべきです。べき、ではありますが、こういったステップは少々抽象的でもあります。
その点、ECRSや「人生を編集する4つの原則」は行動のリストになっていて、実用的に思えます。改善や編集という以上、すでに対象物が目の前にあるわけです。ですので、先に実作業をイメージすることで目的にさかのぼれます。作った資料を半分に削れと言われて手が動かず、そこで初めて「ほんとうに大事なものは何だろう」とリアルに考えられた、といった経験は多くの人がお持ちではないでしょうか。
ECRSは自著に引用したくらいお気に入りのリストだったのに、最近使っていなかったことに気づきました。そこで記憶力の悪さをカバーするために、3か条にまとめ直してみます。「人生を編集する4つの原則」は、原著にあたると最初の3項目がうまいこと同じCの字で始まっていましたので、これを借りました。題して「本質化の3C」。リストの後半には各ステップでやるべきことのイメージが湧く言葉を列挙しておきました。
- 【Cut(削る)】 削除。除く。やめる。捨てる。
- 【Condense(まとめる)】 凝縮。統合する。結合する。まとめる。
- 【Correct(正す)】 修正。整える。並べ直す。置き換える。
本質化の3C – *ListFreak
たとえば講演のために、まず言いたいことを書きつらねて100枚のスライドを作ったとします。そこから50枚を「削る」。25枚に「まとめる」。内容が凝縮されすぎると伝わりづらくなるので、伝わりやすさという目的から「正す」。そして30枚くらいで完成、というイメージです。