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コンセプトノート

504. 日記には何を書くべきか

行動を記録せよ

年末に「小さな記録の大きな効果」というノートを書きました。明けて元日、表 三郎『日記の魔力』という本が安売りされていて、記録つながりで思わず買ってしまいました。

「感想を書くのはやめるにかぎる」という項で、1940年生まれの著者は小学校時代に絵日記を書かされた思い出を次のように振り返っています。

(略)書くことがないのに、書かなければならない。だからいやになる。
さらに悪いことに、日本の小学校では日記や感想文の書き方を教えてくれない。
どういうふうに書けばいいのかと先生に尋ねると、決まって「感じたままを書きなさい」というのだが、人は多くのことを感じているのだから、感じたままになど書けるはずがない。
「感じたまま」ということ自体、そもそも無理な注文なのだ。

感想でなければ、何を書けばよいか。著者は時間と行動、そして着想を記録しています。
それらを積み上げ、読み返していくことで、何が得られるのか。多くのメリットが語られていますが、象徴的な箇所を一つだけ引用します。

本当の自己を発見し、それを受け入れれば、セルフイメージは修正される。
セルフイメージが修正されれば、自分にとっての本当の優先順位がわかる。
物事の優先順位が明確になれば、行動が変わる。
行動が変われば、そう、人は変わるのだ。

計画も記録せよ

わたしはテーマや期間を区切った日記(日誌)は別として、よしなしごとをつづる日記を付ける習慣はありませんでした。しかしここ1年半ほどは、日記を書いています。
子どもたちと数週間離れて暮らすことになったのをきっかけに、それぞれの近況を共有するある種の家族内SNSを作りました。その後両親も参加し、三世代共有日記になっています。今ではほぼわたししか更新していませんが、両親に家族の様子を伝えたい思いもあり、ほぼ毎日更新しています。基本的には、表氏のように行動の記録(写真を含む)です。

やはりときどき読み返します。ただ著者とは違い、懐かしい思いを抱くことはあっても、何か行動が変わるきっかけになったことはないように思います。行動を変えるという意味では、週記であるこのノートのほうがはるかに役に立っています。

そこでいま一度、日記に書くべき項目を振り返ってみたいと思います。先述の引用部にあった「本当の自己を発見し、それを受け入れ」という部分は、わたしに次のリストを想起させました。

  • 【感情】 「いま・ここ」での気持ちに気づく。感じ方は、自分らしさの理解と自己表現の手がかりになる。
  • 【思考】 自分の言動がどのような考え方に従って出ているかを確かめる。考え方やものの見方の奥には、体験から作られた原則があり、理想化された原則は「思い込み」となる。
  • 【行動】 言語と行動の不一致に注意を向ける。言動の矛盾やズレを認めて表現することは、自分の感情や思考を知る手がかりになる。

自分とつき合う3つの視点*ListFreak

【感情】と【思考】についても書きたいことはありますが、今回は【行動】に絞ります。
「言語と行動の不一致に注意を向ける」という観点から振り返ると、表氏の日記にあってわたしの家族日記にないのは「計画」だと気づきました。
計画とは、未来の行動についての言語表現です。計画として日記に書いたことを実際に日記に書き込めれば言語と行動が一致したことになりますし、そうでなければ不一致です。

つまり、思ったこととやったことのギャップを見つけていくのが日記の効用と言えそうです。

日記といえば、こんなフォーマットもあります。最後の「宣言」の項目が、先述の計画に相当するでしょう。「姿」という、ビジョンを描かせる言葉には、望ましい行動を促す効果があります。しかしあまり大風呂敷を広げると、容易に行動と言葉の不一致が生じます。「明日」という言葉には、大げさな言葉でなく、現実的に行動を変えられる言葉を探させる工夫を感じました。

  • ■事実:今日一日を振り返り一つ出来事を選んで書こう。
  • ◆発見:出来事からひらめいた事や発見した事を書こう。
  • ●教訓:忘れないための名言やことわざを書こう。
  • ★宣言:明日になっていたい自分の姿を宣言しよう。

4行日記のフォーマット*ListFreak

表氏も「宣言」という言葉を使っています。

マイナス面があったときに、大切なのは「あれをやっておけばよかった」ではなく、「今日からはこうしよう」という肯定的な側面を書き、宣言することなのだ。