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コンセプトノート

031. 提言ではなくて実行

野口悠紀雄氏のエッセイで、「半田フェローシップ」という個人が拠出した基金による奨学金の話を読みました。基金は総額18万ドル。これを4年かけて6人の奨学生に支給するというものです。ノーベル賞とか国際交流基金のように莫大な原資の運用益から支給するのではなく、(このままどこからも基金の補充が無ければ)この基金を6人に分配したらそれでおしまいという性格のものです。

では半田氏とはどんな方か。記事を読むと野口氏の同級生のようですが詳細は書かれていません(下記はその記事より引用):

彼は、若いときにカナダに渡って日本車のディーラーを始め、成功して先ごろ引退した。そして、事業を売却した資金で奨学金を作ったのである。

『週刊ダイヤモンド』第90巻44号p154より

記事は現在の政策から人材育成の視点が脱落している事を嘆きつつ、こう結んで前半を終えています:

しかし、こうしたことをいくら訴えても、効果はない。それよりは、各人が出来ることから始めることだ。半田君がやろうとしているのは、小さいことかもしれないが、「提言」ではなくて、「実行」である。

同上

奨学金という形で「人材」=「日本の将来」に投資をすることは誰にでも出来ることではありませんが、あなたにも「日本の将来」に投資をする方法があります。それは言うまでもなく「自分自身」への投資です。起-動線用語でいうところの「チャレンジ」を立てて少しずつ動いてみることです。

半田氏の志が端的に示されている選考基準を引用しておきます。第一期の合格者の方が出たら話を聞きに行ってみたいですね。
(1)日本社会を変革する原動力として働くことを目指している方
(2)大学での専攻にこだわらず、新しい時代に必要とされる専門分野を学ぶ意欲に燃える方
(3)積極性と創造力に富み、自らの判断によって可能性を切り開くことを目指す方
(4)国際社会において活躍できる人材
(半田フェローシップは、米国ペンシルバニア大学ウォートン・スクールMBAプログラムに2003年9月から2006年9月にかけて入学を許可された日本人留学生に対して、財政的な援助を行うものです)