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コンセプトノート

278. 感謝の気持ちが、良い決断を導く

感謝の気持ちこそストレスに対抗できる想念であるという文章を見かけました。

 1970年代、私は幸運にも、ストレスという概念の発見者である生理学者ハンス・セリエ博士が晩年におこなった講演会に参加することができた。

 セリエ博士は、ストレスに対抗できる唯一の想念は、感謝の気持ちであると説いた。

(略)

 その後、脳内化学物質に関する研究が進んだ結果、セリエ博士の教えは時代を先取りした主張であることが明らかになった。感謝の気持ちを感じると脳内でセロトニンが放出され、このセロトニンがストレス物質の連鎖反応を抑制することが判明したのだ。

―ルーシー・ジョー・パラディーノ 『最強の集中術』 エクスナレッジ 2008年(p228)

上を引用したブログのエントリを読んだ方が、メールで「感謝に勝るものはありませんね」と共感を送ってくれました。わたしは「へー、感謝がストレスに効くのか」くらいにしか受け止めていなかったので、「感謝に勝るものはない」という言葉には刺激を受けました。

もし感謝が心を静める最強の想念ならば、いつでもどんなときでも頼れる「無条件に感謝できる存在」を用意しておけば、万能の抗ストレス剤になるはず。無条件に感謝できる存在……と考えて、無宗教のわたしは「神様」というアイディア(?)の素晴らしさに今更ながら気がつきました。神を信じるとは、神に無条件に感謝することと言い換えられますね。

無条件に感謝する。過去に起きたことだけでなく、これから起きるすべてのことに対しても、感謝する用意ができている。そんな対象があれば、どんなときでも心を静められるでしょう。

神でも天でも自然でも、「無条件に感謝できる存在」を探しておくのも良いでしょう。加えて、積極的に感謝の対象を探すクセをつければ、心を静める手がかりになるでしょう。

人間の意志決定は感情によって左右されますから、重要な決断の前には心を静めておく必要があります。「いつでも何かに感謝できること」はよい決断のためのスキルと言ってもいいかもしれません。

実は先日仕事で強いストレスを受けたことがあり、偶然にも感謝の力を試す機会に恵まれました。仕事の中で悪役を演じる必要があり、結果が当方への手厳しい批判となって返ってきたのです。意図通りとはいえ、どうしても穏やかな気持ちではいられません。憂鬱な数日を過ごした後で心を静めることができたのは、背景を知る方々からの温かい言葉のおかげです。