カテゴリー
コンセプトノート

148. 専門バカの壁

「○○としての専門性を追求していきたいが、専門バカとは呼ばれたくない。どうすればいいのか?」

そういうキャリア相談を受けることがあります。
そこで専門バカとは何なのか、考えてみました。

FABのフレームワーク

コーヒーミル(コーヒー豆を挽くもの)を買うとしましょう。
箱に
(F)「業界初のセラミック刃!」
と書かれていても、わたしのような一般人は買う気になりません。
わたしが欲しいのは
(B)「美味しいコーヒーが飲めて」「壊れにくくて」「手頃な値段の」
のコーヒーミルだからです。

ここで(F)はFeature(機能・性能)、(B)はBenefit(便益・効用)です。
顧客は常にBenefitから発想しますから、売る側は、あるFeatureがBenefitにどうつながるかというメカニズムを、B = f(F) という関係を、きちんと説明しなければなりません。

こんなときに便利なのが、「中間点を設ける」という発想。FとBの間にAdvantage(強み)という中間点を置くと、機能と便益のメカニズムが説明しやすくなることが知られています。たとえば

(F)「セラミック刃」
(A)「従来の金属刃のように金属臭が豆に移らない」
(B)「よりコーヒーらしい香りが楽しめる」

という感じです。

#実際には、「セラミック」というFeatureは、他にも様々なAdvantageと、Disadvantage(弱み)につながり、それが複数のBenefitにつながります

FABで考える「専門バカの壁」

ここまでは当たり前のように思われるかもしれません。
しかし、例えば組織内にも、FとBがつながっていないがゆえの「壁」が多く存在しているのが現実です。

(F) 新システムは、設計はOO、開発はXPでやります。
(A) ?
(B) ??速くて安くて使い勝手のいい業務システムになる?

(F) 今後小口の購買要求は受け付けません。部単位で3ヶ月ごとにまとめて発注する仕組みに変更します。
(A) ?
(B) ??不便になるだけじゃないか?

一般論で言えば、開発部門はFから、顧客(および顧客の視点を持つマーケティング、セールス、経営者)はBから発想します。
「専門バカの壁」が存在するとすれば、意識的にせよ無意識にせよ、FなりBなりの立場から外に出ないという状態なのではないでしょうか。

さて最初の質問に戻ります。

(F) ○○としての専門性を追求すること
(A) ?
(B) 長期にわたって競争力のある人材であること

自分のFeatureが、企業あるいは社会にBenefitをもたらせるかどうか。
未来の話ですから皮算用になりますが、
そのメカニズムを考えてみれば、
自分なりのポジショニングが見えてくると思います。