Aさんは以前いろいろと助けていただいた恩人で、小さな会社の社長でした。
しばらく前に会社を整理されてから連絡が取れなかったのですが、
最近メールをくださって、今週ひさしぶりにお会いできました。
会社を自発的に整理した後、フリーのビジネスプロデューサーとして活動され、
現在は特定の企業と長期契約を結んでいます。
会社の整理にあたっては、いろいろとご心労があったはずです。
一般的には再雇用もなかなか厳しい年齢です。
しかし、いろいろあったはずのご苦労をまったく語らず、
「頭さえ元気なら働けますからね」
と、淡々悠然としておられる。思わず、
「その勇気はどこから来るのですか。不安は無かったのですか」
と尋ねてしまいました。
答えはこうでした。
「昔からずっと動いていたから、何とかなると思っていました」
言われて思い出しました。
Aさんは社長時代にも「社長」という名刺を使っていませんでした。
初めて頂戴した名刺の肩書きはやはり「プロデューサー」であり、
会社におうかがいして初めて、Aさんが社長であることを知りました。
そういった助走があればこそ、会社を畳んだ後も動き続け、
チャンスを掴むことができたのでしょう。
Aさんは歩みを止めていません。相変わらず、A3用紙いっぱいに
描いたビジネスアイデアを見せてくれました。
若輩のわたしに意見を求めてくださいます。
僭越ながら、思うところを申し上げました。しかし、
差し上げたものより、いただいたものの方がはるかに大きかった。
今回も、そう感じました。