日経新聞の1面に「さらば経営すごろく」という面白いタイトルの記事が載りました。
創業、業容拡大、そしてゴールは株式上場――という日本の伝統的な「経営すごろく」に異変が起きている。
(日本経済新聞朝刊,2003/11/18,「新会社論」第1部 解は1つじゃない[2])
東証上場をやめた企業は、
1990年代の10年間で3社だったものが
2000年以降の4年弱で130社にのぼるそうです(破たんなどを除く)。
記事はこの原因として
1. 企業が上場子会社の吸収を進めていること
2. 金融グローバル化の影響
を挙げています。
特に2点目に対する、下記のコメントが印象的でした。
巨額の投資マネーが世界の資本市場を席巻する中で、「風圧を避けて伸び伸び経営した方が成長できる」(カーライル・グループ在日代表の安達保)という声も説得力を増す。
上場という「解」だけに頼らない、もうひとつの成長路線が見え始めている。
「経営すごろく」。激しく抜きつ抜かれつの競争を演じていながら、しかし、そこにはレールがあって、上場という第1の「あがり」がある。とにかく業容を拡大し、株式上場を目指す企業のあり方を表現して的を射ています。(上場は「第1の」あがりであって、終わりではありません。次のステージでは公開企業としてのゲームを戦っていくわけです。)
企業には目的(理念)があり、上場はその目的をよりよく達成する方法のひとつとして「目標」とすべきものですが、いつの間にか上場すること・上場企業であることが自己目的化してしまった。記事のサブタイトル「上場の意味 問い直す」というのはそのあたりの状況を説明しているのでしょう。
企業にとっては、一度上場した企業が自主的に廃止という意志決定をすることはきわめて困難です。記事で挙げられているキトーという企業も、買収→上場廃止→活性化という道筋をたどりました。
しかし結果として『上場時代より信用力が高まった』そうです。
これを個人に置き換えたらどうなるでしょう。もし自分が見えないすごろく盤の上に乗っていると感じることがあるのなら、企業でさえ「上場廃止」によって「伸び伸び成長」することがあるんだというこの事例は、おおいに参考になるのではないでしょうか。