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コンセプトノート

163. 一期一会のパラドックス

一期一会。この機会は一生に一度。
人と会うときに使われることが多い言葉です。

我々は仕事や生活のなかで、多くの人と知り合います。
合い言葉のように「また会いましょう!」といって別れた後、
交流が続く人もいれば、疎遠になる人もいます。

辛い仕事を一緒に乗り切ってくれた後輩とか、
親身になって励ましてくださった先輩とか
濃い時間を共有した「仲間」とは交流が続きやすい。
これは分かります。

しかし、不思議なことに、共有した時間が
たった一度のランチ、たった一度の打ち合わせであっても、
一年あるいは数年して、もう一度会いたくなる。
そして向こうもそう思ってくれる。そういう人もいます。

お互いに忙しく過ごしている中で、それでも
お互いに都合を付けてまた会おうと思うつながりは
どうやって生まれるのでしょうか。

それは、そのたった一度の経験の中で、
「一度きりの機会を楽しもう、大事にしよう」
という緊張と誠意とを共有できたからではないだろうか。

つまり、明らかに意識をしなかったとしても、
「一期一会」で臨めたからではないだろうか。

そう考えてみると、こんな逆説に行き当たります。

 もし「この人ともう一度会いたい」と強く願うなら、
 「この人と会うのはこれで最後だ」という覚悟を持て。