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コンセプトノート

602. ラーニング・スタイル

学習のスタイルとは?

『人それぞれ、自分が向いている学習方法は違います』。芳沢光雄『世界のエリートに必要な「証明力」の養い方』(大和書房、2015年)に、そんな文章を見つけました。氏はアメリカの組織行動学者デービッド・コルブの「4つのラーニング・スタイル」を紹介しています。

  • 【行動型 (Activists)】 柔軟性があり、新しいことに挑戦しながら学ぶ
  • 【熟考型 (Reflectors)】 物事を様々な視点から観察したり、数的推理したりして学ぶ
  • 【理論型 (Theorists)】 観察を分析していくことから学び、合理性や論理を重視する
  • 【実践型 (Pragmatists)】 概念や理論や技術が実際に使えるかどうかを試して学ぶ

4つのラーニング・スタイル(コルブ)*ListFreak

コルブは「経験学習」、すなわち経験→内省→概念化→実践という学習サイクルの提唱者として知られています。というか、わたしはそう理解していました。それだけでなく、重点を置くステップが人によって違うとも言っていたのですね(引用元がなかったのであらためてチェックしなければなりませんが)。自分の経験に照らしても納得しやすいスタイル分類です。

自分のスタイルをどう知る?

自分の優位なラーニング・スタイルを評価するための簡単なクイズをこしらえてみました。

「未経験の」「メジャーな」スポーツを一つ思いついてください。スノーボードやサーフィンなど。それをこれから学ぶとして、まっさきに選びそうな手段は次のうちどれですか?
1. 体験コースを探す
2. それをやっている動画を探す
3. 解説書を探す
4. 教えてくれそうな、上手な人を探す

選択にあたっては、手段の手軽さなど他の判断基準も入り込むので、実際のスタイルとは違った結果になるかもしれませんが、意図を説明します。

1「体験コースを探す」と答えた人は、実際に身を投じた体験から学びたい人なので「行動型」。
2「動画を探す」は、多くの事例を観察して学びたい人なので「熟考型」。
3「解説書を探す」は、理論から学びたい人なので「理論型」。
4「先生を探す」は、とにかくうまくいくやり方を実際に体験しつつ学びたい人なので「実践型」。

ラーニング・スタイルを、学習にどう活かす?

クイズを作りつつ、我流でいくのが好きなわたしは「熟考→理論」成分が高いと感じました。そして経験学習のサイクルを速く太くすることを考えたとき、前のステップを増やすよりは後ろのステップを増やしていこうと思うほうが、心理的な抵抗が少ないことにも気づきました。

前のステップの結果を踏まえて後ろのステップがあるわけですから、当たり前かもしれません。わたしでいえば「とにかく試してみよう」と一つ前の行動型の成分を高めるより、「オレオレ理論だけでなく、他の理論も実践して要領よく学ぼう」と一つ後の実践型の成分を高めるほうが、イメージが湧きやすいのです。

実践を増やしていけば、それにともなっていやおうなく、新しいチャレンジ(=行動)の機会も増えるでしょう。各ステップはサイクルとしてつながっているのですから、自分の得意なスタイルを「エンジン」に見立て、そこからの出力を後段のステップに供給してやるイメージでいくのがよいように思います。

このイメージでしばらく試してみます。