先日ある会社で『クリエイティブ・チョイス』の講演をした後、傍聴していたビジネスパートナーからフィードバックを受けました。
「選択肢を試してみることの重要性を説くくだりがあったが、自分がかつて所属していたような大企業で話をする際には工夫が必要だと思った。なぜなら、聞き手の心の中に『そうは言っても……』と、『しない理由』がたくさん挙がるに違いないので」
「しない理由」という言葉を聞いて、最近読んだ本の一節を思い出しました。
勝ち組・負け組という言葉があるが、本当の負け組は、戦いすらしない人のことを指すのだ。勝ち組の反意語は、何もしない人である。
堀 義人著 『創造と変革の志士たちへ』 (PHP研究所、2009年)
「愛情の反対は無関心である」という言葉(マザー・テレサだったでしょうか……確認しておきます)と同じように、「勝ち組の反意語は、何もしない人」も目を引く言葉です。
人間には「現状維持バイアス」というものがあって、放っておけば「しない」ことを選択しがちです。この偏りをどうやって防いだらよいでしょうか。
一つ思いついたのは、単に「○○をしない」ではなく、かならず「□□をするので○○をしない」と言ってみること。消極的な「しない」を、他の行動との比較によって積極的な「しない」に変換するのです。