CareerBuilderというアメリカの大手キャリアサイトが行った2011年の調査によると、7割以上の企業がいわゆるIQよりもEQを重視して採用を決めているとのこと(1)。まあ、どこの会社も昔から頭の良さだけで採用するようなことはしていませんよね。
ところで、ある人が善人か悪人かを知能(IQ)の高低で測ることはできません。「悪賢い」という言葉が示唆するように、高いIQを悪い目的に向ける人もいます。同じことが、感情的知能(EQ、Emotional Intelligence)についてもいえます。詐欺は高いIQと高いEQがなければ務まらない仕事(?)だと思いますが、詐欺師は社会から求められる人材ではありません。
そう考えると、仕事で発揮される知能は、高さだけでなくその向きも重要であることが分かります。ベクトルのようなもので、10の知能を発揮していても、求められている方向から30度ずれていたとしたら、他者からの評価は8.7弱になってしまいます(10 x sin60°)。90度ずれていたらゼロ、それ以上ずれていたらマイナスです。たとえば、常に相手への配慮を示しながら行動していたのに、上司からは「彼はウチでやっていくには押しが弱いのではないか」と評価されていたとしたら、EQを発揮する方向を微調整したほうがよさそうです。
ということは、組織人としてEQを活かしたいのであれば、組織が求めている「EQを発揮した行動」のイメージを知っておかねばなりません。これは組織によってまちまちでしょう。ただ、CareerBuilderの調査によれば、多くの人事や採用の担当者は次のようなふるまいができる人をEQが高い人と見なしているそうです(1):
・間違いを認め、間違いから学ぶ。
・困難な問題についても感情を抑え、思慮深い議論ができる。
・喋るのと同じだけ、あるいはそれ以上に聴く。
・批判をうまく受け止める。
・重圧の中にあって品を保つ。
……たしかに、こういう人はどこの組織でも認められそうですね。ハードルは高いですが、望ましい行動のイメージとして持っておいても損はないでしょう。
(1) “Getting a handle on emotional intelligence can smooth the way for a diverse workplace” (Diversity Insight – HRhero.com)