均質化競争
ローソンの新浪剛史社長が数年前に「コンビニは均質化競争に陥っている」と述べているのを読みました。出典を失念してしまったので、おっしゃった言葉そのままではないかもしれません。とにかく「均質化競争」という概念が強く印象に残りました。
「均質化競争」とはつまり、互いの違いを無くそうとする競争。数年前のコンビニはまさにそういう状況でした。それからそれぞれに独自色を模索してはいますが、まあ似たり寄ったりです。
我々も、似たようなことを、人生を賭けてやっている。そう感じるときがありました。同世代の連中とは、似たような教育を受けて、似たような会社に入って、似たような仕事をやってきた。細かい違いはあれど、同じ枠組みの中で均質化競争をしている。
ところが、競争の枠組みも不変ではない。ダニエル・ピンクが『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』で示唆したのは、大まかには「左脳的能力を鍛えれば勝てる」という枠組みの崩壊です。
競争の枠組みが変わるフェーズで考えるべきこと
我々は、個人としては自身の、組織人としては組織の、親としては子どもの、将来の強みの源を考えて、投資していく立場にあります。均質化競争のフェーズは、競争は苛烈ですが競争変数ははっきりしています。競争の枠組みが変わるフェーズでは、「何が強みの源になるか」から考える必要があります。
三谷 宏治氏は『トップコンサルタントがPTA会長をやってみた―発想力の共育法』などの著作で、それを「発想力」に求めています。人によっては「変化に追随する力」「遊び心」「デザインセンス」などを重視するかもしれません。あるいは、大局的には何も変わらないと考える人もいるでしょう。
競争の枠組みがいつ、どう変わるか。それを長期で考えることは、実は日々の生活にも直結しています。例えば、子どもに何を与える(与えない)か。自分にどんなミニ・チャレンジを課すか。そういった小さな選択の、判断基準につながります。