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コンセプトノート

133. 最強の仕事選び戦略

「好きなことを仕事にせよ」なんて浮ついた話でなく、
現実的にメシを食っていくための職業選択の基準とは何か。

それはやはり「好きなことを仕事にせよ」。
そう語るコラム[1]を読みました。

好きなことを仕事にすることが、なぜ労働市場において
競争優位を築くための合理的な戦略といえるのか。
その背景として、コラムでは、仕事をめぐる環境の
変化が挙げられています。

まず仕事の自動化。これまで自動化といえば、
肉体労働を機械に置き換えることでした。
現代の自動化はそれに加え、いわゆる左脳的な仕事を
どんどんコンピュータで置き換えています。

二つめは仕事の国際化。自動化しづらい仕事であっても
国外の安い労働力で置き換えられるならば、
その仕事は国外に流れていきます。
電話による各種の応対業務(コールセンター)などは既に
そうなっていますし、製品開発のような複雑なプロセスであっても、
もしマニュアル化できるならば例外ではありません。

三つめは社会の成熟。モノ余りの時代と言われるくらい
物質的に恵まれた社会です。
ビジネスは、単に機能・仕様の差だけでなく、
顧客に「楽しい」「美しい」などと思ってもらえるかどうかを
競うようになりました。

上はアメリカの市場についての観察ですが、日本にもあてはまるでしょう。

では、このような市場で働く我々に求められる能力とは何か。
技術的な意味での職業スキルを持つことは前提として、
競争力の源泉は何になるのか。

コラムから単語を拾えば、それは
「好奇心」や「審美眼」といったものです。

好奇心を高めるには、製品やサービスに対する
深い興味や愛情を持てばよいわけです。
つまり仕事を好きになればよいことになります。
仕事が好きであることが競争力の源泉であるならば、
「好きなことを仕事にせよ」は合理的な判断基準といえます。
その仕事を愛し、楽しく仕事ができていなければ、どうやって
製品やサービスに楽しさや美しさを持ち込むことができるでしょうか。

[1]
“Pomp and Circumspect”(要ユーザ登録)
著者は『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』等で知られるダニエル・ピンク。