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コンセプトノート

090. ストーリーテリングを採用面接で使う

先日のコンセプトノート「よい物語はよい贈り物に似ている」では、ビジネスにおけるストーリーテリングの重要性、よいストーリーとよい贈り物との類似、そして個人のビジョンづくりにおけるストーリーテリングについて触れました。

自分を語る必要のある局面といえば、転職の際の採用面接。今日はそこで「自分を物語る」ことについて、また別のコラムを引用しながら書いてみたいと思います。

採用面接では、自分の専門や実績を語るだけでは十分ではありません。そんな情報は経歴書に書いてあることですね。

必要なのは「絵を描く」こと ― 肉付けされたストーリーとして自分のスキルを表現すること ― 、だそうです。そのための物語づくりのステップは以下の通り。

1. 自分が達成してきたこと(実績)を振り返る
(Identify Your Accomplishments)
まずは自分が達成してきたことをリストします。自分で過小(あるいは過大)評価をしてきたものがあるかもしれませんから、大きなものも小さなものも含めて洗い出します。

2. その実績を物語のフォーマットに落とし込む
(Use A Story Format To Frame Your Accomplishments)
その実績をショートストーリーに仕立てていくわけですが、典型的には下の3つの要素が含まれるでしょう:

状況: 仕事を始めたときの状況を簡潔に描写します。

行動: その状況を改善(問題を克服)していったステップを具体的に語ります。

結果: その行動の結果、状況がどう改善されたか、問題がどう克服されたかを描写します。可能な限り、定量的に測れる数字(何パーセントの改善、など)を添えること。

3. その物語を会話に織り込む
上記の物語を、面接の会話の中で逸話として自然に語れるように練習します。「逸話」は5つくらいは用意したいもの。面接官の話をよく聞き、話の流れに沿って、相手のトピックに乗って「よくわかります。たとえば以前…」「わたしも似たような経験をしたことがあります。例えば…」などと話し始める機会を探しましょう。
人間、いい話を聞くのは好きなものです。いい話が聞ければ、語り手のあなた自身も相手の記憶に残るでしょう。

…いかがですか。自己アピールだからといって「わたしは○○が専門です」「○○年の実績があります」「○○資格の上級を持っています」といった、直截なスキルの「宣伝」をする必要はないということです。そうではなく、エピソードを語ることで、物語の登場人物としてのあなたと、あなたが物語の中で発揮したスキルが鮮明に浮かび上がってくるのです。

これからの自分をシナリオで考える際には期待や覚悟や不安を織り交ぜて作っていかなければなりませんが、過去の自分の逸話は事実を基にすればいいわけです。上記のような、ある種自分を客観化した物語を作る作業は、ビジョンづくりのいい練習になるかもしれません。

(参考:このノートは下のコラムに寄りかかって書きました)
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