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「影響言語」で人を動かす

  • タイトル:「影響言語」で人を動かす
  • 著者:シェリー・ローズ・シャーベイ(著)、Shelle Rose Charvet(著)、上地 明彦(監修)、上地 明彦(翻訳)、本山 晶子(翻訳)
  • 出版社:実務教育出版
  • 出版日:2010-08-10

ミニレビュー

1957年、言語学者のノーム・チョムスキーは、われわれが現実世界を知覚するときに使(ってしま)う3つのフィルターを、次のように定義したそうです。

  • 【削除】 私たちは、外部環境からの情報と脳内の情報の大部分を削除します。
  • 【歪曲】 私たちは物事をゆがめて捉えます。歪曲には、幻想と創造があります。
  • 【一般化】 一般化とは数個の事例を集め、一般的な原則を作ることです。

人が現実世界を見るときに使う3つのフイルター*ListFreak

NLP(神経言語プログラミング – Wikipedia)が体系化される過程で、このフィルターが60ものパターンに分解されて「メタプログラム」と名付けられました。それを14にまで絞り込んだのが、この本で解説されているLABプロファイル(Language and Behaviour profile)というもの。

経緯はともかくとして、著者が語るその効用はこんな感じです。

引用:

人は話をするとき、無意識にその人特有のパターンの言葉や身振り・手振りを使いますから、相手のパターンに合わせて話せると、コミュニケーションがとてもスムーズにとれるようになります。(序章)

その「パターン」は、たとえばこんな感じです。

主体性 率先して物事を始めるか、ほかの人が行動を起こすのを待つか。
– 主体行動型……あまり考えずに行動する。あるいは、まったく考えずに行動する。行動することでやる気が高まる。
– 反映・分析型……待つこと、分析すること、検討すること、周りに反応することで動機づけられる。
(「LABプロファイル カテゴリーとパターンのまとめ」より引用)

で、前者と後者がそれぞれ15〜20%、半分ずつ併せ持つ人が60〜65%なんて統計(ただし引用文献なし)、それぞれのタイプの特徴、相手を動かす言葉(これが「影響言語」(Influencing Lanuguage)です)が書かれています。影響言語の例を挙げると、相手が主体行動型であれば「なぜ待つんだ」。反映・分析型であれば「機は熟した」。

相手が14パターンのそれぞれにおいてどんなタイプなのかを知る(プロファイリングする)ための質問集も付いています。

なんだか「飽くなき形式知化への意欲」みたいなものを感じました。たとえば「コミュニケーション力」という曖昧なものを誰でも学べるスキルとして学校で教えるとしたら、こういう作業が必要なのかもしれないなあという感じです。個人的には、この14パターンが導かれる過程が省かれていたせいか、単純に数が多いせいかこれを試してみようという気にはなりませんでしたが……。

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