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禁煙にすればするほど煙たくなるニッポン


ミニレビュー

山本さんのこれまでの3冊は、いずれもご自分の経歴(公務員、キャリアコンサルタント)に題材を求められていました。4作目となる本書では、喫煙を取り巻く問題を扱っています。

ご自身はたばこを吸わない山本さんですが、執筆のきっかけは『社会のさまざまな場所で禁煙が進むほどかえってその周囲が煙たくなっているのではないか、というパラドックス』(まえがきより)を感じられたことだそうです。

まえがきから、全体の構成を簡単にご紹介。まず、社会におけるたばこの存在意義について考え(第一章)、鉄道・飲食などの事業者やオフィスでの禁煙・分煙化にともなう問題を紹介しています(第二・三章)。後半は煙を減らす新技術(第四章)や著者流のタバコ回避術(第五章)の紹介を経て、第六章ではコストのかかる設備(ハードウェア)に頼らない、「ソフト分煙」への提言があります。

山本さんは暮らしやすい社会に向けて、ハード分煙+ソフト分煙+技術革新の三本柱に期待をかけています(エピローグより)。個人的に面白かったのは、技術革新を扱った第四章の「究極の分煙とは――混煙から僅煙へ」。わたしもたばこを吸わないので知りませんでしたが、すでに、実に様々な方法で煙をなくす努力がなされているのですね。