- タイトル:しあわせになるドーナツの秘密―大切にしたい7つのこと
- 著者:ボード シェーファー(著)、Sch¨afer,Bodo(原著)、恒裕, 山崎(翻訳)
- 出版社:求龍堂
- 出版日:2005-08-01
ミニレビュー
『イヌが教えるお金持ちになるための知恵』の続編。ですので主要な登場人物は前作と同じ。前作はそれなりにリアリティがありました(犬が喋る以外には、自然の法則を超越するようなことは起きませんでした)が、本作ではファンタジーの要素が増しています。
前作はお金がテーマでしたが、本作は人から信頼されること・人から愛されることがテーマです。両者をつなぐために、登場人物のひとり(カンプ夫人)がドーナツの比喩を持ち出します。これが分かりやすい。
「お金は生きていくうえで、とても大切なもの。だけど、決してそれがすべてではないわ。お金とお金で買えるすべてのものは、わたしにとってドーナツのまるい輪の部分みたいなものね」
(略)
「ドーナツの輪がお金やお金で買えるものだとしたら、その真ん中の穴はなにを意味しているのかしら?」
「よぐ聞いてくれたわ」と夫人。「その穴は、日に見えない人間の核をあらわしているの。その核を気にかけない人もいくらでもいるわ。なぜって、それが目には見えないものだから。そういう人にとって大事なのは、日に見える成功だけ。(略)」(p38)
主人公の少女キラが前作で掲げていた夢の一つ「カリフォルニアへ行く」が叶い、アメリカの学校に短期留学します。その過程で学ぶのが、副題にもある「大切にしたい7つのこと」(本文中では「七つの教え」)。それは「人に親切にする」や「責任感をもつ」といった、当たり前の言葉ばかり。
当たり前ではありますが、大人だってできているわけではありません。この本の工夫として素晴らしいと思ったのは、
・一日に一つの教えに集中する
・自分なりの解釈を書き足していく
ということ。キラの先生(その名もミスター・ナイス)は7枚のカードの上側に「七つの教え」をひとつずつ書き、それは具体的にどういうことかを下に書き足していくように勧めます。
これはとても実用的なコツだと思いました。よいリストは世の中にたくさんありますが、それを自分のものにするのが難しい。以前に『「〜の○つの原則」が自分のものになるまで』というコンセプト・ノートで理屈っぽく解説したようなことを、はるかにシンプルに実践できる方法です。