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脳を活かす勉強法


ミニレビュー

脳科学者 茂木健一郎氏が自らの学び方を振り返り、37の勉強法としてまとめた本です。最近よくテレビで見かけるこの方はこのようにして学び続けているのか、という実例を知ることができるのはいいですね。読みやすくもあります。編集者が聞き書きをまとめたのかもしれません。

ただ、それらの勉強法が脳科学の知見なのか個人的な経験なのか分からないところが多く、コミットしてみようかという勇気がなかなか湧きません。
例えば、集中力について。

引用:

僕は、集中力は次の三つの要素から生まれると考えています。
1. 速さ――作業のスピードを極限まで速くすること
2. 分量――とにかく圧倒的な作業量をこなすこと
3. 没入感――周囲の雑音が入らないほど夢中になること
この三つの要素を理解することで、誰もが集中力を磨くことができるのです。(p61)

「僕がこう考える」ことを理解すると「誰でもできるようになる」?

あるいは「一回性」についての、これも魅力的なくだり。

引用:

 その後の人生を変えてしまう出来事を経験すること。これを「一回性」といいます。
 脳には、いつ、どこで訪れるか分からない一回性の体験を、大切に刻印し整理していく働きが備わっています。この機能こそが僕たちの人生を豊かに作っていくのです。(p149)

「一回性」をたくさん経験することが、人生を豊かにする。この言葉自体には強い共感を覚えます。しかし、脳が「お、これは一回性だから大切に刻んでおこう」とばかりに働くものなのでしょうか。「その後の人生を変えてしまう出来事を経験すること」が一回性ならば、結果的に脳に強く刻まれた体験が一回性と呼ばれるわけですよね。

期待が大きかったせいかちょっと批判的になってしまいましたが、個人的な経験談として読んでも十分面白い本ではありました。特に、細切れ作業をいとわずに瞬間的に没入するというところ。たしかに、好きな本を読みかけの時は、数分の休憩も惜しんで本を開いたりします。自分が面白いと思えるものを遠慮なく突き詰めていってみよう、という気にさせてくれます。