- タイトル:成功への情熱-ビジネスで成功するには 英日バイリンガル版 (マグロウヒル・ビジネス・プロフェッショナル・シリーズ)
- 著者:稲盛 和夫(著)
- 出版社:日本出版貿易
- 出版日:2007-12-01
ミニレビュー
「成功への情熱」は、京セラの創業者稲盛和夫氏が1996年に上梓されたロングセラーで、いまはPHP文庫に入っています。こちらはビジネスに特化した内容の英日対訳版。
氏が説く経営原則「PASSION」とは、このような要素からなっています。
- PROFIT「利益」 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える。利益を追うのではない。利益は後からついてくる。
- AMBITION「大望」 潜在意識に透徹するまで願望を持ち続ける。
- SINCERITY「誠実さ」 すべての商いにおいて相手のことを考える。双方にとって利益となる状況を目指す。
- STRENGTH「強さ」 真の強さとは勇気である。決して卑怯な振る舞いがあってはならない。
- INNOVATION「創意工夫」 昨日よりは今日、今日よりは明日と、常に自ら創造性を発揮して、改良改善を続ける。
- OPTIMISM「積極思考」 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で。
- NEVER GIVE UP「決してあきらめない」 誰にも負けない努力をする。どんなに地味な仕事でも、一歩一歩堅実に、努力を怠らずにやり遂げる。
成功への情熱 ― 「PASSION for Success」 – *ListFreak
各原則について10前後の短い文章が見開き単位でまとめられています。左ページに英文が、右ページに日本語の文章があります。
わたしの心に残ったのは、「引き際を判断する」という項でした。「決してあきらめるな。あきらめない限り失敗ではない」などとよく言います。しかし、時にはあきらめざるを得ないこともあるのではないかと思います。もう一歩だけ進んでみるか、それとも思い切って引き返すか、その判断を何に頼るべきか。
もちろん「正解」の無い話ですが、この本には、よりどころになりそうな言葉がありました。それは『情熱が完全に燃え尽きるまで戦うことが前提』という言葉。
「情熱が燃え尽きるまで、などというのは結局は精神論にすぎないのではないか」と思う方もあるかもしれませんが、精神論というのは情熱が燃え尽きてもやり続け(させられ)るようなときに使う言葉で、実は精神に忠実ではなかったりします。
わたしには、「一定期間以内に黒字化できなかったら撤退、といった定量的な目標を置き、それに従え」といった言葉よりもよほど真実味があるように思います。というのは、目標も情熱の産物だからです。目標達成の確率も当事者の情熱によって違ってきます。もし目標達成が難しくなった場合に、規模を縮小してでも延命を図り、再起を期すべきかどうか。これは当事者が再挑戦への情熱を保ち続けられるかどうか、変化に適応しながら辛抱強く工夫し続けられるかどうかに依存します。
上記のようなことを考え考え読んでいける、優れた food for thoughtsです。英文の方はほとんど読んでいませんが、「言行一致」= “Practice what you preach” など、印象的なフレーズは自然と目に飛び込んできます。