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クリティカル・シンキングと教育


ミニレビュー

引用:

 

クリティカル・シンキングは、一般には「与えられた情報や知識を鵜呑みにせず、複数の視点から注意深く、論理的に分析する能力や態度」と定義される。
(p4)

6人の執筆者は全員学者さん(大学の教授・助教授)です。海外では学校教育に組み込まれているところもあるクリティカル・シンキングとは何か、その功罪、そして実践例などがまとめられています。

特に第?部「クリティカル・シンキングの実践」の前半は、教育に関係・関心の無い方でも楽しめる内容です。
第4章「クリティカルに読み解く」
第5章「クリティカルにエッセイを書く」
第6章「クリティカルにディベートする」
に書かれている内容は、それ自体クリティカルな読み方・書き方・話し方のエッセンスを知る上で役に立ちますし、これらをクリティカル・シンキングという軸で読み通してみるとき、自分に(あるいは自社に、あるいは日本に…)欠けている態度や姿勢が見えてくるかもしれません。

また第?部後半は、クリティカル・シンキングが異文化理解にどう役立つのかを、異文化間教育や日本語教育の専門家の先生が解説してくれます。
第7章「クリティカルに異文化を読み解く」
第8章「クリティカルに日本を考える」

先日、日本国内の外資系企業を主なクライアントとするコンサルティング会社の人と話をしていました。彼は日本(支社)の議論力の弱さを批判しています。最も不足していると指摘していたのが「疑う力」。相手の議論の前提を確かめ、それを疑う習慣がないので、理路整然と主張されると反論できず、本社の都合の良いように操作されてしまいがちだとのこと。

ものの見方・考え方というのは我々のアイデンティティの一部ですから、海外の思考体系を直輸入することには賛成できません。しかし、クリティカル・シンキングというラベルのもとに体系づけられつつある一連の思考スキルには大いに学ぶべきものがあります。

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