ミニレビュー
『ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則』で見出されたのは、「単に良いだけでなく、偉大な」組織の法則。これは、社会セクターにも当てはまるのか。そのまま当てはまらないとすれば、どのように修正すればよいのか。この問いへの答えに絞った小論です。著者前書きによれば、『ビジョナリー・カンパニー 2』の増補改訂版に含めることも考えたとか。
「社会起業」という言葉が定着してきました。しかし「社会的な問題をビジネスの手法で解決する」といっても、そう簡単ではありません。その理由を考察した第一節『「偉大さの定義」―経営指標が使えないなかで、偉大さを判断する』はとても分かりやすく、説得力がありました。
引用:
企業セクターでは、金銭はインプット(偉大な実績を達成するための資源)であるとともに、アウトプット(偉大さをはかる指標)でもある。社会セクターでは、金銭はインプットであるだけで、偉大さをはかる指標にはならない。(p18)
企業ももちろん社会貢献の装置です。ただ、一般に「企業価値」という言葉は、稼ぐ装置としての性能を意味します。一方、社会的な使命を持った組織は、稼ぐ装置としての性能を期待されているわけではありません。
引用:
社会セクターの場合には、「投資しした資本に対してどれだけの利益が得られたか」ではなく、「使った資源に対してどれほど効率的に使命を達成し、社会に際立った影響を与えたか」が決定的に重要である。(p19)
ただ、物差しは違えど、「偉大な組織づくりの法則」は通用するというのが著者のスタンス。社会セクターの経営者から寄せられたフィードバックを基に、社会セクター版の「偉大な組織への飛躍の法則」をまとめています。