ミニレビュー
1926年に書かれたというこの本は、わたしにとっての精神安定剤です。人前で話を差し上げる機会をいただいて準備している期間には、これをパラパラと読み返します。前回の講演の際には、原稿以外に会場に持っていった唯一の本がこれでした。
PowerPointはもちろんスライドもない時代の本ですので、「話す」ことに焦点が当てられています。現代でいえば純然たる講演、マイク一本で勝負する方にとってもっとも有益でしょう。
わたしを含め一般のビジネスパーソンは、多くの場合補助資料を使うことができます。しかしそれゆえに、「話」の力を軽んじているのではないでしょうか。少なくともわたしはそうでした。
300ページを超える本ですが、スピーチをどう組み立てるかということについては具体的な記述がありません。心構え的なことばかりで実用性がないと思う方も多いかもしれません。しかし、この本以上に、きちんと準備をしよう、という気にさせてくれる本はありません。