ミニレビュー
流行のLifehacks(生活・仕事の改善術)。好きでよく読んだり試したりしていますが、不満を挙げるとすればこの2つ。
1. 小さな「コツ」の集積であり、どれが何に効くのかよく分からない
2. 個人的な体験をベースにしたhackは納得感がイマイチ。かといって全部試してみる時間もない
この本は、仕事系のhackに限定し、上記の問題を見事に解決しています。まずは数々のLifehacksを「スピードハックス・サイクル」として9つに分類。
1. 取りかかる気持ちを起こす
2. 段取りを決める
3. やる気を引き出す
4. 時間をスライスする
5. 環境をテコにする
6. 迷いを断つ
7. 習慣の力活用する
8. アイドルタイムを減らす
9. ゴールまでたどり着く
本の章立てをこのように構成することによって、何のためのhackなのかが明確になりました。1つめの不満は解消です。そして2つめの不満を解消してくれるのが、大橋 悦夫さんと佐々木 正悟さんの共著者体制。お二人は日経ビジネスオンラインの「Lifehacks」欄を担当されています。
「仕組み」に関する部分については、私、大橋悦夫が、「やる気」に関する部分については、心理学の専門家である佐々木正悟さんが、それぞれ執筆を担当しました。「仕組み」の紹介だけにとどまらず、「なぜその仕組みがうまく回るのか?」、そして「どうすればもっとうまく回るようになるのか?」について、心理学の見地から検証し、実践的な解説を行っています(「はじめに」より)
「シゴタノ!」管理人の大橋さんのLifehacksは、どれも経験と考察に裏打ちされていて、どれも「使える」コツとして信頼しています。ご自分でもLifehacksの著書がある佐々木さんのパートは、仕事術の心理的なメカニズムについての解説が添えられており、これも納得度高し。
個人的に一番面白かったのは、佐々木さんがこの本の執筆過程を上記の「スピードハックス・サイクル」に沿って説明されている「終わりに」。ツールを駆使した鮮やかなコラボレーションぶりを垣間見て、「共著がブームになるのでは?」との予感も。
各章末にはまとめ対談があり、読み物としての流れもあります。読みやすいソフトカバーで、もちろんオンライン書店価格の1500円。Lifehackという言葉は知らないけれど仕事の効率を考えたい方、多すぎるLifehacksに混乱している方に、そろそろまとめ情報が欲しいLifehacks好きの方に。