ミニレビュー
まず、チャンスとは何か。それを発見するとはどういうことか。それは何故難しいのか。
引用:
未来のシナリオが何通りかあるという不確定性の下で、どのシナリオを選択するかという決定の重要なヒントになる事象または状況を、チャンスと呼ぶわけである。シナリオを選ぶためにはチャンスの先にあるそれぞれのシナリオの価値を理解しなければならないから、現在の環境からチャンスの存在を認め、背景にある因果関係のベールを取り去らねばならない。
ところが、膨大な数の出来事の中からチャンスの存在を認めるためには、ベールを取り去る前に、ベールの向こうにある因果関係を感じ取らなければならない。(p7)
膨大なデータから意味ある予兆を見つけ出すにはどうすればよいのか。著者は二重螺旋プロセスモデルというモデルを考案しています。
二重螺旋とは人とコンピュータが作る螺旋。POSデータのような、事象を記録したデータ(環境データ)を人が読み込み、思考する。その思考プロセスを記録したデータ(主体データ)をキーグラフというツールで可視化して、未来へのシナリオを練り直す…といったことの繰り返しが、粗っぽいですが、チャンス発見のプロセスの概要です。
特殊なツールに依存する部分があり、読んでたちまち実践というわけにはいきません。しかしチャンスを発見する方法論を考えている本にはなかなか出会えませんし、幾つか挙げられている事例にもワクワクするようなものがあり、楽しく読みました。