ミニレビュー
伝説の発明家(とわたしは思っていた)著者の藤村博士と、ある仕事でご一緒させていただく機会を得まして、そのお人柄に惹かれて手にしたのがこの本。
「非電化製品」とは著者の造語で、電化製品の仕事を、電気を使わずに代替することです。愉快な発明品や、電化されていなかった時代のスタイリッシュな器具のあれこれの写真が満載。
例えば電気掃除機。そもそも「空気を吸ってもの(ゴミ)を動かす」はとても効率が悪い(紙切れを吸って動かせますか?)。
著者の概算によると、床に散らばった5グラムのゴミを、掃除機で集める仕事(←起-動線でよく使う「仕事」ではなく、物理の方の単位)はだいたい0.1[W秒]。その仕事をさせるために費やす電気掃除機の仕事は、これも概算で200万[W秒]。効率は2千万分の1となります。ゴミを吸い取るために動き回った人間の仕事は計算に入れずに、です。
そこで著者は箒の逸品「白木屋傳兵衛の箒」を紹介し、ついで自ら発明した「非電化掃除機」の原理と現物を披露します。しかし…
引用:
かくして、非電化掃除機は完成しましたが、じつはまだ商品化していません。というのも、白木屋傳兵衛の箒のほうがいいような気がして仕方がないのです。
一貫してこんな感じの、愉しいムックです。