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知識創造企業

  • タイトル:知識創造企業
  • 著者:郁次郎, 野中(著)、弘高, 竹内(著)、勝博, 梅本(翻訳)
  • 出版社:東洋経済新報社
  • 出版日:1996-03-01

ミニレビュー

日本企業の観察から、組織が知識創造を行うメカニズムを詳しく提案しています。有名なSECIモデルというのがそのメカニズム。

理論モデルは具体的な一方で実践の処方箋が抽象的なので、そこを不満とする書評も少なからず見かけます。それだけ理論として説得力があるということでしょう。

わたしが特に注目し、納得したのは、組織的知識創造における個人の役割です。

引用:

・厳密にいえば、知識を創造するのは個人だけである。

・組織は知識をそれ自体で創ることはできない。

・個人は知識の「創造者(クリエイター)」であり、組織は知識の「増幅器(アンプリファイアー)」である。

つまり、知識を創造できない個人が寄り集まってブレストをしても何かが湧いて出てくるわけではない、ということ。

いたずらに組織だけをいじってもイノベーションが産まれ得ないのは、この「個人」の役割を、企業も、そして個人自身も、深く自覚していないからかもしれません。

では個人はどのような態度で臨んだらよいのか。1996年出版のこの本は経営理論の本であり、組織(増幅器)が個人をどう扱うべきかということについては多少言及があるものの、個人(創造者)にとっての示唆は得られません。

それが熱く語られているのは、2004年の『イノベーションの本質』。併せて読んでみるとやる気が出ること請け合い。

> ミニ書評『イノベーションの本質』