ミニレビュー
・現在の経済の主役はサービス業である。
・サービス業の特徴は、多くの場合生産と消費が同時に(同じ場所で相対で)起きることである。
・ということは、消費のために使える時間(可処分時間)が可処分所得と同じ役割を果たす。まさに「時は金なり」なのである。
…というロジックで、可処分時間を増やすべき理由が分かりやすくまとめられています。
サービス経済でどうやって可処分時間を増やすか。著者は
「営業時間の延長」を提案しています。ただし
・一人ひとりの労働時間は増やさない
・柔軟に休暇が取れる
ことが前提。
一人あたりの労働時間を増やさずに営業時間を延長するためには、雇用者を増やさなければならなくなります。柔軟に休暇が取れればサービスを享受しようという人が増えます。このようにして、サービスの提供と享受がうまく噛み合いつつ規模を大きくしていくことでおカネが回りだす、というのが著者の主張。
可処分時間を考える上で重要なのは、一年間に何日休んでいるかという数字ではなく、その配分であるというのはよい指摘だと思いました。
時間の効用は、二四時間プラス二四時間が四八時間ではありません。一日プラス一日の休暇の時間は数字としては倍ですが、「効用」は指数曲線的に上がっていくのです。
たとえば、日帰りでは一〇〇キロしか移動できないのが二週間まとまると世界中どこでも行って来れるようになります。可処分時間の乗数効果はそのくらい大きいのです。
著者は旅行会社の経営者なので「サービス」の事例は旅行ばかりなんですが、我田引水という印象は受けませんでした。
わたしも社会人向けの教育サービスに関わることが多くなっているので同様のことを感じます。「学び直したい」「新しい知識を身につけたい」「これからの自分をじっくり考えたい」というニーズがとても高い一方で、なかなか腰を据えて取り組む時間のない現状があることを。
自分のワークスタイルを考える参考になりそうという観点でこのカテゴリに。