- タイトル:人生を変える4つの質問
- 著者:ケイティ,バイロン(著)、ミッチェル,スティーヴン(著)、Katie,Byron(原著)、Mitchell,Stephen(原著)、由紀子, 安藤(翻訳)
- 出版社:アーティストハウスパブリッシャーズ
- 出版日:2003-07-01
ミニレビュー
●「自問」というテクニック
いわゆるセルフ・ヘルプというジャンルに入る本だと思います。「自問」を積極的に薦めている数少ない本で、自問自答式の「自分ナビ」をホストしている起-動線としてはまずそこが気に入りました
本の冒頭、精神を病んで療養施設に入っていた著者のバイロン・ケイティが、「ある朝」フッと全ての悩みから解き放たれた神秘的な体験から全てが始まったというようなくだりがあります。ここで早くも引いてしまい、読むのを止めておこうかなと思いましたが、通読してみると面白い本でしたし、実用性も十分にあると感じました。
●4つの質問
著者は、自らに問いかけることによって自分の思い込みに気づくやり方を「ワーク」(the work)と名付けています。
それでビジネスをしようという話ではないので、「4つの質問」自身やワークシートも彼女の運営するNPOのサイトからダウンロードできます。興味のある方はそちらをあたっていただくとして、ここではわたしが本を読んで理解したことをまとめておきます。
まず、不満とか不安を幾つでも紙に書き出します。次にその一つ一つについて下の4つの質問をします:
1. それは本当ですか?(Is it true?)
2. あなたはそれが本当だと確信していますか?(Can you absolutely know that it’s true?)
3. そう考えるとき、あなたはどう反応しますか?(How do you react when you think that thought?)
4. その考えがなければ、あなたはどんな人になりますか?(Who would you be without the thought?)
●「入れ替え」がコア
拍子抜けするくらい簡単な質問に思えますが、これは前半戦です。自分の考えを客観視できるようにするための準備という感じです。ワークという方法のコアは、次の「入れ替え」(turn it around)というステップにあるように思いました。4つの質問をした上で、言葉をいろいろ入れ替えてみるのです。
たとえばわたしが
「子供は僕の言うことをちゃんと聞くべきだ」
と書いたとしましょう。それを
「僕は僕の言うことをちゃんと聞くべきだ」
「僕は子供の言うことをちゃんと聞くべきだ」
というように主語と目的語を入れ替えてみたり、
「子供は僕の言うことを聞かない方がいい」
というように述語の意味を反対にしてみたりします。
元の文章によってはかなり無理のある文章が出来上がることもありますが、気にせず機械的にいろいろ入れ替えてみます。
…すると、ひっくり返した文章に妙に納得できたりしちゃうんですね。特にそこから強引に結論を導く必要はなくて、気づくだけでもいいらしいです。
●コツもいろいろある
4つの質問から何をどうやって引き出すかについてはいろいろコツがあって、そのヒントや事例は本にたくさん挙げられています。
「自分ひとりで考えていても限界がある」といわれます。それはそれで本当だと思いますが、ワークの方法はその限界をかなり押し広げてくれそうです。
というのは、自分で書いた文章を「入れ替え」ると、自分の文章ではなくなりますが、でも文脈(上の例で言えば僕と子供の問題について語っているということ)は変わっていないので、あたかも誰かが「それって実は……じゃないの?」と視点を変える質問をしてくれたような効果を生むからです。これは発想法としても面白いかもしれません。