ミニレビュー
糸井重里さんと脳の研究家池谷裕二さんの対談。池谷さんが披露する脳科学の薀蓄を肴に「頭がいい」とか「やる気がある」とかいうのはどういうことなんだろうと語り合う、気楽な読み物です。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」(『アイデアのつくり方』)
「新しいアイディアというのは、新しい場所に置かれた古いアイディアなんだ」(『仕事は楽しいかね?』)
これは脳の働きからいっても確からしく、意味記憶(知識、WHAT)を方法記憶(やり方、HOW)でつなげていく作業が脳の仕事の本質だそうです。だから、いわゆるネットワーク効果が効く。べき乗で効いてくる。
この、「経験を積むことでつながりを見出す力」の威力を重視する池谷さんは、「30歳を過ぎてから脳の使い方が変ってくる、頭がよくなる」という持論を披露されていて、30代半ばの私をホッとさせてくれました。
糸井さんが、年を取ってきてから論語とかことわざとかの含意が汲めるようになってきたと言われていますが、これはわたしも強く感じます。頭がよくなっている実感は全然ありませんが・・・
全編これ対談なのですが、4つの章に区切った上で章ごとに「はじめに」と「まとめ」を付けてくれています。記憶を整理・定着させる上で睡眠も重要、ということでやや強引ながらこのカテゴリ。
(参考) コンセプトノート「やる気の出るクスリ」