ミニレビュー
威力を実感した「投資戦略の発想」
本書の前身『投資戦略の発想法―ゆっくり確実に金持ちになろう』を読んだのは2001年の春。初めて手にした資産形成の本だったと思います。いろいろと衝撃的な学びがありました。本を見ずとも思い出せるのは、こんなところです。
・24ヶ月分の「生活防衛資金」を持つこと。
・1ヶ月の生活費と、それをいくらまで下げられるかを知ること。
・投資で1%儲けるより、節約で1%儲けた方が楽で確実。節約すること。
・仕事こそ収益源。自分に投資すること。
・これらの本(後述)を読むこと。
最後の項目について本を確認すると、15冊の本が挙げられています。著者はこう書いています:
いま紹介した一五冊を全部買ったとしても三万円程度です。三万円というのは、一〇〇万円の株式投信を買ったら、証券会社に払わなければならない手数料の金額です。闇雲に一〇〇万円の株式投信を買うくらいなら、その前に紹介した本を一読してください。きっと、普段読んでいるマネー雑誌とは異なる投資哲学が垣間見えてくるはずです。(p314)
なるほど、とあっさり説得されたわたしは、図書館でざっと目を通した本も含めて、これらの推薦図書を10冊は読みました。見よう見まねでアセット・アロケーションを決め、長期投資を始めました。
当時参画していたベンチャー事業が清算になったのは、この本を読んだ半年後でした。慌てて再就職先を探すのではなく、じっくり考えて起業し、その後の曲折を乗り越えて来られたのは、この本と推薦図書たちのおかげだったと思います。心理的にも経済的にも、報われた投資といえる本たちでした。
より具体的に・Up-to-dateに
本書は、その新刊です。基本的なメッセージは変わっていませんが、2001年と比べると、投資の選択肢が格段に多様化していますので、それに合わせて内容が更新されています。また前著はタイトル通り「戦略」を語る本でしたが、本書ではボリュームを増やしたこともあり、新しい金融商品の評価など具体的な記述も多くなっています。上述の推薦図書リストも、冊数は同じ15冊ですが、内容は更新されていました(こちらで引用しています)。