ミニレビュー
タイトルの「ロジカル・プレゼンテーション」よりも副題の「提案の技術」という言葉がよく内容を説明しています。ロジカルシンキング、問題解決、会議の進行(ファシリテーション)、プレゼンテーションといった個別のスキルを「提案」というプロセスの中に位置づけて解説した本です。それぞれのスキルには多くの良書がありますが、この本は提案という業務の進め方に沿って組み立てられている点で読みやすく、またメッセージも明快でした。
「提案」というプロセス自体はお金を産まないし、それだけでメシを食っているという人もいないと思います(たぶん)が、「専門家」がいるとしたら経営戦略の立案に携わるコンサルタントでしょうね。少なくとも世の中で最も「提案」にエネルギーを割く仕事の一つだと思います。
著者はそのような仕事から事業会社に転じた方で、「提案の技術」に特に思い入れを持っています。
引用:
私が思うに、「考える」能力と、「伝える」能力があわさった状態で生み出されるのが、「提案」である。「提案」とは根拠のない思いつきでもないし、納得感のない強制でもない。あくまで、「自分が一生懸命考え抜いた、正しいと思う話」を、「一生懸命相手に説明して、聞いてもらう」ということである。